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変容目的使用(トランスフォーマティブユース、transformative use)

WikipediaHow did transformative use become fair use?

著作権法の憲法適合的解釈に向けて-ハイスコアガール事件が突き付ける課題とその克服-

アメリカはどのような形で表現の自由と著作権の調整を行っているかということです。特にアメリカで表現の自由と著作権の調整を担う上で大きな役割を果たしているものとして、フェア・ユースの法理というものがあります。このフェア・ユースの法理というのは、四つの要素に基づいて判断がなされていくものなのですけれども、特に「使用の目的」という判断要素について、近年判例の大きな展開があります。そのうちの一つが、変容目的使用テストというものです。この変容目的使用とは、一体いかなるものかというのは、若干正確な定義はいろいろ争いがあるわけなのですが、レバル裁判官というのが、ハーバード・ロー・レビューでその概念を提唱しており、「創造的」目的のための使用、「オリジナルなものとは異なった方法あるいは異なった目的」のための使用、あるいは「オリジナルに価値を加える」使用という、これらの使用について、それが変容目的使用であるということを述べておりました。

そして、さらにこれは学説で提唱されたものにとどまらず、実際にそのようなトランスフォーマティブな使用というのは保護されるということについて、判例の展開がなされていきました。そして、さらに重要であるのが、このフェア・ユースの法理というものが、憲法的位置づけを与えられるようになってきたということです。著作権法の合憲性について最高裁が判断したエルドレッド判決というのがあったのですが、その判決のなかで、このフェア・ユースの法理というのは、著作権と表現の自由の調整を担うものであるということ、そして、このようなフェア・ユースの法理というのは、憲法に適合的に解釈しなければならないというふうに言われました。

そのフェア・ユースの憲法適合的解釈という場面において、注目されているのが、先ほど、紹介しました変容目的使用テストです。この変容目的使用というのは、なぜ憲法的利益衡量として重要なのかということですけれども、新たな表現、新たな意味、新たなメッセージを付加する変容目的使用というものは、それ自体として表現の自由の観点から要保護性が高い。先ほど前半の方で、表現の多様性が重要だと言いましたけれども、従来存在していた表現というものに、新たな意味、新たなメッセージというものを加えるということは、当然それだけ多様性が増すわけですから、その表現の自由は最大限保護されなければならないということになります。他方で、その表現は、元の表現からは変容がなされているわけですから、原著作物との代替性が低く、その原著作物の潜在的市場を害さないということが言えます。

そのような二つの理由から、変容目的使用については、できるだけ保護すべきであると言われているわけです。このような変容目的使用テストが適用された具体例として、ブランチ vs クーンズという事件があります。これを簡単に説明しておきますと、これは雑誌に掲載された切り抜きの一つです。これは足の絵なのですが、これが元のものだったのですが、先ほどのハミルトンと同じような形で、いろいろな雑誌に載っている足の絵というものを切り貼りして、このような作品を作った人、クーンズという方がいらっしゃいます。

クーンズはレディー・ガガのジャケットなども作っておられる方で、こういう芸術界の中では、かなり有名な方なのですが、こういった作品を作りました。それに対し、この足の写真を撮った人は、これは著作権の侵害だと訴えたわけです。しかしながら、アメリカの裁判所は、これは変容目的使用であると、元のものとは全く異なった価値というものを付加する使用の方法であるということで、このような使い方を保護しました。

今木下先生からお話しありましたように、アメリカでは、トランスフォーマティブユース、変容目的使用という名のもと、フェア・ユース規定を使って、それを憲法適合的に解釈することによって他人の著作物に依拠した創作において、多くの作品が著作権より表現の自由が優越するという判断がされてきたわけです。

日本とアメリカでは、当然著作権法の枠組みはだいぶ違います。ただ、憲法上の要請ということに関しては、日本もアメリカも異ならないということができます。そうしますと、日本の著作権法が、そういった他人の著作物を利用した創作を一切認めていないということになってしまうと、それは憲法違反の疑いが生じてくるということになります。アメリカには、フェア・ユース規定があるわけですが、日本の著作権法には、フェア・ユース規定のような一般的な権利制限規定というのはありません。ただ、今申し上げたように、日本でも何らかの形で条文の解釈を行うことにより、憲法適合的な結論を導くようにしなければならないと考えられるわけです。

一つ候補として考えられるのが、先ほど中山先生のお話にもありました、「表現・アイデア二分論」という考え方があります。ここに 2 枚の写真を掲げましたが、これは裁判例で実際にあったもので、右側の写真が左側の写真を真似して、同じ廃墟を撮影したものです。素人が見ますと、そっくりにも見えるわけですが、裁判所は、これを著作権侵害ではないとしました。これは廃墟を撮影するという、そういう被写体をアイデアとして利用したのかもしれませんが、写真の構図、あるいは光線の具合といった具体的な表現のレベルにおいて違うので、侵害にはならないとしたわけです。

それが読者の受け取る主要なメッセージであって、作者も当然それを意図していたと思われ、そうだとすると、ここでのキャラクター自体というものは、それ自体を享受させることが目的として利用されていないことは明らかなように思われます。

このシーンがビートルマニアを主として享受させる目的であるとは、およそ考えられないと思いますし、一方でこのキャラを使う必然性も十分に肯定できると思われるわけです。そうだとすると、ここは正当な範囲内の引用であるという余地も十分にあると思われます。

それを通じて2人の気持ちなどを描くための、あくまで素材としてゲームのプレイのシーンを使っているということは明らかなわけです。そうすると、ここもゲームそれ自体が主要な享受の対象となっていないと言えるし、サムライスピリッツというものが当時置かれてきた地位を考えれば、これは必要性もあるだろうということなのです。

「トランスフォーメーション使用」とは、米国の著作権法に由来する概念であり、新しい情報、新しい美学、新しい洞察、理解を生み出すことによってソース作品に付加価値を与える、異なる方法または異なる目的でのソース作品の使用を意味します。この分野の典型的な事例はキャンベル対エイカフローズであり、米国最高裁判所は、その行為が「トランスフォーメーション使用」を構成するかどうかを判断する基準は、主に「新作が元の作品に取って代わるだけかどうか」に焦点を当てることであると述べました。創造、またはそれが「変革的」であるかどうか、そしてどの程度、新しい表現、意味、またはメッセージでオリジナルを変更するか。使用がトランスフォーメーションであることが判明した場合、その行為はフェアユースに該当し、侵害を構成するものではありません。

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