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田中辰雄 教授

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【ファスト読書】「盗人猛々しい」書籍の図解ツイートは販促?リンク付きなら許容?単なる無断転載?コンテンツの時短&倍速消費を考える

異論あり、ファスト映画考――逮捕は悪手である - 田中辰雄 / 計量経済学

異論あり、ファスト映画考――逮捕は悪手である

漫画村異聞――海賊版の前向きの解決

「“著作権厨”をなんとかしたい」 慶応大・田中教授が考える、ネットで有意義な著作権の議論に必要なこと

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The Effects of Internet Book Piracy: Case of Comics

「異論あり、ファスト映画考――逮捕は悪手である」の一部抜粋

逮捕が映画業界として最善策であったかどうかには疑問がある。一般にネット上の違法コピーには正規版の売上を減らす代替効果だけでなく、逆に売上を増やす宣伝効果があるからである。YouTubeで音楽ファイルがながれることは、かつては違法行為とされてきたが、現在では宣伝効果が優るため、音楽業界は音楽をYouTubeに積極的に流すようになった。ゲームのプレイ実況動画も当初は違法行為とされて削除されていたが、現在ではゲームの売上を増やす販促として位置付けられ、プレイステーションは本体にプレイ動画のアップ機能をつけるにいたっている。

ファスト映画の場合はどうだろうか。ファスト映画は映画の売上を増やすだろうか、減らすだろうか。ファスト映画が拡大したのはここ半年ほどでこれを判断する材料は乏しいので、以下では簡単な調査によって考察して見よう。結論から述べると、過去の映画作品については売上を伸ばす効果がありえるので、一律禁止は得策ではない。ファスト映画は始まったばかりで知見が乏しく、複数の可能なシナリオが考えられるので、さまざまな試行錯誤を許す実験期間をつくるべきであろう。現時点で逮捕することはそれら試行錯誤を不可能にする点で悪手である。

過去の作品はもう宣伝されておらず、数も多いために埋もれてしまっているので、海賊版の宣伝効果が効きやすい。たとえば漫画では、連載が完結した過去作品の場合、海賊版が出ると正規版の売上が増えるという報告がある。【注2】特にファスト映画は映画本編ではなく短縮版なので、過去の映画のファスト映画を見てその映画に興味を持ち、正規版を購入して本編を見るという行動が起こりうる。

映画の場合は、劇場公開から1年間はDVD・BD販売、新作レンタルなどで宣伝が継続し、売上もこの時期に集中するので、公開から1年以内かどうかで現在作品と過去作品を分けてみよう。すると、どちらもそれなりにファスト映画で見られているが、比較すると過去作品の方が多い。複数回答なので解釈は慎重であるべきだが、単純に足し合わせて比率をとると、(19+34):(45+23)なので、現在作品:過去作品の比率はほぼ5対7になる。すなわちファスト映画で見られているのは、宣伝効果の恩恵が大きい過去作品の方が多い。

2番目に多いのが「面白い映画を見つけるため」で、3番目に多いのが「見る前にどんな映画か知りたかった」である。この二つは見るべき映画を捜すためにファスト映画を見ていたと解釈できる。いわば一種の探索行動である。

映画は見るまではどんな映画かわからない。予告編やお勧め解説記事などで多少は推測ができるが、見始めたら予想と違ってがっかりしたということはよくあることである。ファスト映画で最初の3分くらい見ればどんな映画か見当がつき、それで気に入れば本編を見るという行動が考えられる。ストーリーが重要でない映画(アクションや美しいシーンが魅力の場合)では10分間の最後まで見てからでも本編を楽しむことができる。この2と3の理由でファスト映画を見た場合、映画の売上を増やす宣伝効果が期待できる。

まとめてみると、売上を増やしそうな宣伝要因が2と3、売上を減らしそうな代替要因が5、6、7である。設問の取り方にもよるので単純な比較は難しいが、棒グラフの高さがこれだけ違うと売上を増やす探索要因の方が優勢と考えられる。

探索行動をした人は263人、代替行動をした人は200人で、探索行動をした人の数の方が多い。また、対角線のところを見ると、探索行動のみの純粋な探索者が158人おり、代替行動だけの純粋な代替者95人より多くなっている。この面でも探索行動の方が優勢である。以上をまとめて、探索行動の方が人数としては優勢と言ってよいであろう。

、図4はファスト映画を見た後で、映画本編を見たことがあるかを尋ねたものである。これを見ると、ファスト映画を見た後、その映画を映画館で見たことがある人は26%、DVD/BDで購入したことがある人が21%、レンタルしたことがある人が25%、ネット配信で見たことがある人が32%おり、かなりの人がファスト映画で見た後、映画本編をお金を払って見ている。そのような経験が全くない人は25%に過ぎず、75%の人はファスト映画を見た後にその映画本編を見た経験があることになる。

経験の比率で言えば42%であり、ファスト映画を見た後で映画本編を見た経験の比率75%よりは低い。したがって、単純に経験率を比較すれば、ファスト映画を見たあと映画本編を見る行動の方が優勢であり、代替行動より探索行動の方が優勢である。

調査全体をまとめてみよう。ファスト映画があることで売上が減る面と増える面はともに存在するが、今回の調査ではどちらかといえば増える効果の方が優勢である。見られているファスト映画は宣伝効果が効きやすい過去作品が多く、ファスト映画を見る理由も、面白い映画を見つけようとする探索的行動が多い。実際、ファスト映画を見た人の75%は見た後でその映画全編を有料で見た経験がある。逆にファスト映画を見て満足して映画本編を見るのを止めた人は42%にとどまる。

ただ、今回の調査は設問数が限られた粗い調査で、複数回答が多いため、定量的な評価には限界がある。本来はビデオレンタルや映画配信数等のデータを使って定量分析をすべきところである。現時点で確実に言えるのは、ファスト映画が売上を増やす場合がかなりあるということである。

そのような試行錯誤の結果として均衡点に達することが社会的に望ましい。均衡点では、権利者側は売上を増やすことができ、映画視聴者は多くの映画の中から自分にあった映画を楽しむことができるようになる。

逮捕は試行錯誤を経て望ましい均衡に達する道を閉ざす点で悪手と言うほかはない。

ゲーム実況もコミケも、そしてYouTubeへの音楽アップも、著作権上合法とは言えない状態から出発し、やがて業界を支える柱の一つに育っていった。ファスト映画の逮捕は、映画業界にとって将来金の卵を生むかもしれないアヒルの首を絞めることになっているのではないだろうか。

ファスト映画の映画売上への影響は、本来は定量調査をすべきことです。これにはビデオレンタルあるいはネット上の映画配信の再生数のデータが必要で、もし利用させてくれる業者の方がおられたらご連絡ください。調べてみたく思います。

「“著作権厨”をなんとかしたい」 慶応大・田中教授が考える、ネットで有意義な著作権の議論に必要なこと

著作権法の在り方について考える上で、現行の著作権法を絶対と考える“著作権厨”の存在がネット上での議論を阻害している。

田中教授は「議論を阻む一番の障害が、著作権に非常にうるさく、現行の著作権法を絶対だとまきちらす“著作権厨”だ」と指摘。「何か新しい試みをしようとする人に『これはいかん』と言う人がいる。せっかくの試みも縮小してしまうし、議論も封殺されてしまう。彼ら(著作権厨)をなんとかしたい」と話す。

唯一「お前らちゃんと野球やれ!」とツッコミを入れた人物

今回の「ファスト映画問題」の一番の問題は、まともな議論が行われていないことです。

一見議論をしているように見せかけて、実は信仰や願望を垂れ流しているだけというのはひどく滑稽です。野球に例えるなら、試合をしてると見せかけて、実際はお互い選手宣誓しあってるだけという状況です。言葉のキャッチボールはおろか、そもそもゲームのルール自体をよくわかってません。感動的な選手宣誓を大きな声ですれば、それがそのまま事実となり、自分たちの勝利につながると素朴に信じているのです。

さらに困ったことに、この野球にはジャッジがいません。いるのは観衆だけです。これらの観衆は、より自分たちに都合のいい選手宣誓をした方を勝者にしようとします。選手は野球もせず、ただ選手宣誓しているだけなのに、どうやって勝者を決めるというのでしょうか?

答えは簡単です。気に食わないヤツを権力でボッコボコにするのです。

殺してしまえば「死人に口無し」というわけです。犯罪者のレッテルを貼って社会的に抹殺するのも同じです。そうすれば、自動的にもう一方が不戦勝となります。もちろん、この乱闘騒ぎに選手自身も参加しています。「野球しろよお前ら!」とツッコミをいれる人は一人もいません。歴史上初めてのツッコミは慶応義塾大学の田中辰雄教授だけですが、その声はあまりにも小さいので、今もネットの世界でこの乱闘騒ぎは続いています。

The Effects of Internet Book Piracy: Case of Comics

以下は、[Abstract]をグーグル翻訳した文章です。「本研究では、日本の漫画市場におけるインターネット書籍の著作権侵害の影響を、製品レベルの著作権侵害率の直接測定と自然実験としての大規模な削除プロジェクトを使用して調べた。違法コピーの全体的な影響は合法的な売上にマイナスですが、パネル回帰と差分分析は、違法コピーの影響が不均一であることを一貫して示しました。違法コピーは、進行中のコミックの合法的な売上を減少させ、完成したコミックの合法的な売上を増加させました。後者の結果は次のように解釈されます。著作権侵害は消費者に過去の漫画を思い出させ、その市場での販売を刺激します。」

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