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映画「ノマドランド」を観た感想

みなさんこんにちは、今日は映画「ノマドランド」がとても良かったというお話をして行きたいと思います。

まずこの映画が素晴らしいのは、リア充が一人も出てこないということです。ハリウッドは最近まで空前のパリピブームであり、パリピ映画を量産しまくりました。

しかしそれらはほとんどが地雷であり、うっかりレンタルしたら最後、水着姿の頭の悪そうな金髪ボインたちにはちきれんばかりのいきいきオーラを見せつけられます。

それはもう恰幅の良いリア充っぷりです。その屈託のなさ、若アユのような潤い、果汁100%の充実っぷりを延々と90分見せられるという拷問にかけられます。

しかしこの映画「ノマドランド」にはそんな奴は一人も出てきません。ほとんどの登場人物が60歳以上の高齢者です。彼らは家賃を払えないくらい経済的に困窮し、もう丁か半かくらいの勢いで車上生活を始めた人たちです。シャンパンやプールやビキニとは無縁の世界です。

リア充やパリピを見ると即座にリミッターが発動する私のような中年乞食が安心してエンドロールまで見ることができます。

彼らの多くはそれまでの人生に特段の誇りはありませんでしたが、60歳で車上生活を始めた時、わずかに残っていた自尊心は最後のひとかけらまで消え失せます。それでも高齢者兼車上生活者の彼らは路上には希望があると信じてます。

その希望はほんの少し先に、次の街に、次の仕事に、見知らぬ人との次の出会いにきっと転がっているはず、つまり登場人物全員が理想以下の生活に甘んじながらも、心の片隅で自分だけはどうにかなるんじゃないかとうっすら考えているのです。

「自分だけはなんとかなる」という何の根拠もない確信だけを生きるよすがにして毎日をやり過ごしている人たちです。もうこの時点で涙なしには見れません。

彼らは基本アマゾンの倉庫でアルバイトをして生計をたてます。仕事は単調な繰り返しで商品を棚に収め、次から次へと商品にスキャナーを向け引き金を引き、音がするまで待つ。お金がもらえること以外に何の意味があるのだろう?という疑問が常に頭から離れません。

アマゾンの倉庫には全部で数万種類の商品がありますが、彼らがスキャンするその商品の一つ一つがまるで「退屈な拷問」という写真を構成する画素のようです。世界最大の自動販売機の中のちっぽけな歯車のようです。

私を含め、日本全国にいるやりたくもないし興味もない仕事を生活のために渋々やっている人間にとって、こういうシーンはグッとくるのではないでしょうか?

しかしその一方で「さあ飲もう!地球のどこかじゃもう5時だ!」とか言ってみんなで昼間からビールを飲んだりして、常識なんぞクソくらえ感がほとばしっていて清々しい。

そんな風に「常識なんぞクソくらえ」的な思想を感じるシーンが作中に多いため、

「現代のアメリカ人が最も恐れているのは、死ぬことではなく長生きしすぎてお金がなくなること」

という身も蓋もない底なしにネガティブなテーマを扱ってる割には、見終わった後になぜか不思議と明るい気分になれる。

というわけで、映画「ノマドランド」を観た感想でした。

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