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映画「ライ麦畑の反逆児」を観た感想

みなさんこんにちは、高杉です。

今日は、映画「ライ麦畑の反逆児」を観た感想を述べたいと思います。

この映画は世界文学史の頂点に君臨するサリンジャーの代表作「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の誕生秘話的なお話です。

主人公のサリンジャーは短編小説を書きためながら作家としてデビューするチャンスをうかがっています。

毎日のように出版社に足を運び作品を売り込みますが、誰も彼の作品に興味を示しません。サリンジャー、この時21歳。

そんなある日、サリンジャーの短編小説が高級紙ニューヨーカーの編集長の目にとまり掲載の依頼が舞い込みます。それはまるで売れないモデルが「VOGUE」の表紙を飾るみたいなすごい話です。

しかし、せっかくつかんだ千載一遇のチャンスですが、数々の不運が重なった結果、掲載は見送られてしまいます。

それ以降、何をやってもうまくいかないサリンジャー、軽く10年くらいくすぶり続けます。

しかし、その間ずっと「ある作品」を温め続けます。

そして、30歳になったサリンジャー。このあたりでいっちょ勝負するかとばかりに渾身の力を込めて自身初の長編小説「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を完成させます。

そして、これは絶対にイケる!これでイケなかったら本当にヤバイ…みたいな感じで、もう半か丁かくらいの勢いでニューヨーカーに売り込むんですが、なんと幹部連中から酷評されてしまう。

こんな文句ばかり言ってる青年が街をウロウロするだけの話を誰が読むんだ?みたいな感じで全く理解されない。

もはやこれまでか…と思い絶望するサリンジャー。失意のどん底でしたが、捨てる神あれば拾う神あり。以前から付き合いのあった出版社の編集長が「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を大絶賛!これはアメリカ文学史上最高傑作だと評価します。

で、トントン拍子で話が進み、めでたく本が刊行されると瞬く間にベストセラーになり、若者から絶大な支持を得ます。

その本が出版された当時は、まだ戦争後の混乱期であり、国として長い歴史を持たないアメリカは精神的な漂流を経験していました。

この本がベストセラーになったのも、主人公であるホールデン・コールフィールドが自らの精神世界をさまよう姿が国家としてのアイデンティティーを見失いかけていた当時のアメリカの世相にぴったりはまったからです。

戦争を経験した多くのアメリカ人は、国家や個人の「アイデンティティの喪失と再生」というテーマをホールデンに重ね合わせたのかもしれません。

しかし、サリンジャーはその成功を機に、今のマスコミにチヤホヤされている自分の状態と理想のアーティスト像とのギャップに苦しみます。

こんなの本物の芸術家の姿ではない、何かが違う、もっとこうなんていうか森の奥に住む木こりのように粛々と己の仕事に向き合い他人の賞賛なんか求めずにひたすら作品に情熱を注ぐのが真のアーティストの姿じゃないだろうか?

みたいな感じで葛藤しまくります。そして葛藤した結果、サリンジャーは山奥にこもり隠遁生活をしながら、どこからも出版するつもりのない小説を自分が納得するためだけに書き続けるという、反ミーハー型半グレこじらせ作家としての道を邁進しそれを全うする…みたいな感じで映画は終わります。

だいたいそんな感じの話です。なんか観終わった後は、ユーチューブで一発当てて広告収入でウハウハ生活を夢見ていた自分が恥ずかしくなってきました。

これは、ユーチューバーが観てはいけない映画ナンバーワンかもしれません。

というわけで、作家志望やアート系を目指す者のバイブル的な映画「ライ麦畑の反逆児」についてのお話でした。

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